機能性フィルム
2022.09.23
帯電防止フィルムの原理~帯電防止剤について~
練り込み型帯電防止剤のしめる位置
絶縁体である高分子の導電性を高める為に、金属粉末・金属フィラー・カーボン・カーボンフィラーなどの導電性付与剤を練り込み、高分子を導電あるいは非帯電のレベルに高めることは出来ますが、一般に多量に添加されるために、高分子自体の機械物性を低下させたり、フィルムに用いた場合透明性をなくし、商品価値を下げることがあります。
金属微粉末をフィルム表面に塗布することにより透明を保ちながら、表面の導電性を高める方法もありますが、価格の点からは一般的ではありません。一方、帯電防止剤として開発されて、界面活性剤の一種を高分子に練り込むことにより、少量の添加で表面の導電性と透明性を保ちながら高めることができます。
帯電防止剤の作用機構
練り込まれた帯電防止剤は表面にブリードし、分子内の親油性部をプラスチック側に、親水性部を空気中に向け、図1のように配列します。
フィルム表面において飽和単分子吸着膜が完成されれば、実用上満足出来る帯電防止効果がみられるはずであるが、実際には図1のような配向がみだれた多分子層になっていると考えられています。
配列を完了した帯電防止剤の層は、自身の導電性と空気中の水分を吸着することによる導電性との相乗効果により、表面固有抵抗を低下させる。表面固有抵抗に空気中の湿度が大きく関係していることは。図2にみられるように明らかです。