機能性フィルム
2022.11.01
帯電防止フィルム屋が解説【帯電防止性と導電性の違い】
帯電防止性とは
帯電防止性とは
帯電防止性とは、静電気の帯電を防止する性質のことを指します。フィルムなどに帯電があった場合、空気中の微量なゴミやほこりなどを引き寄せてしまい、製品の不具合に繋がる事故を引き起こす可能性があります。また、粉末を商品として扱う場合、最悪粉塵爆発などを引き起こす可能性があります。これを防ぐために一般的には、帯電防止剤と呼ばれるものを表面塗布や練り込みする事で帯電防止性をフィルムに付与しています。
導電性とは
導電性とは
導電性とは、物体が電気を通す性質のことを指します。電気の通りにくさは物体の電気抵抗率と呼ばれるもので判断され、金属などは材料によって大きく異なります。金属の他には、カーボンなどが導電性がある物質としてよく挙げられます。
帯電防止に用いられる3つのフィルム
帯電防止に用いられるフィルムは以下の3つです。
・導電性フィルム
・永久帯電防止フィルム
・帯電防止フィルム
用途や目的によって、用いられるフィルムが変わってきます。以下でそれぞれのフィルムの特徴や性質について詳しく解説いたします。
導電性フィルム
導電性フィルムは表面抵抗値がΩ10^4~7程度で抵抗値は低めとなっており、アースと同様に電気を逃して電圧がかかるのを防ぎます。このように電圧がかかるのを防ぐことで、電流からの熱影響を受けないようにし、半導体の損傷から守ります。例えば、電子部品の一部などは電圧による包装対象物への影響を配慮する必要があるため、導電性フィルムを導入することが推奨されます。
また、導電性フィルムは防爆対策として、粉末調味料や液体調味料等にも用いられます。
こちらはフィルム検索BOXが提供した導電性フィルムの一例です。本製品は、コンデンサや各種電子部品を実装した基板の保護を目的として使用されるものです。
帯電防止フィルムならびに、永久帯電フィルムと比べると抵抗値が非常に高く…
永久帯電防止フィルム
永久帯電防止フィルムは表面抵抗値がΩ10^10程度と高い抵抗値となっています。これにより、静電気障害から守る包装フィルムとなっています。このフィルムの素材にはプラスチックが用いられており、高い絶縁性によって表面に発生した静電気を漏洩しにくくしています。
主な用途としては、自動車内装や家電製品、フレコン内袋、溶剤搬送用コンテナ、液晶モジュールの搬送トレイや電子部品包装材料などの幅広い商品に用いられ、ほこりの付着による衛生面の悪化や電化製品の誤作動、電気回路の破壊などを防ぐことができます。
また当社の永久帯電防止フィルムは、フィルム自体に帯電防止効果を保持することで、湿度依存性がほとんど無く、安定した表面抵抗値を長時間維持するようになっています。
こちらはフィルム検索BOXが提供した永久帯電防止フィルムの一例です。本製品は、食品や、電子部品の搬送を行う際に使用するものです。
優れた静電気拡散性を兼ね備えた帯電防止タイプのポリエチレン(PE)フィルムを原料とし、フィルム(樹脂)自体に帯電防止効果があるため…
帯電防止フィルム
帯電防止フィルムは表面抵抗値がΩ10^12程度と非常に高い抵抗値となっていて、湿気により帯電効果を得ています。帯電防止フィルムは液体調味料や電子部品にも使用されますが、多くは粉末調味料に用いられます。理由としては、粉末調味料が静電気を必要以上に帯びてしまうと充填時や開封時の作業が行いにくくなってしまうため、そのトラブルを低減するために使用されます。
こちらはフィルム検索BOXが提供した帯電防止フィルム原反の一例です。
本製品は、食品や、電子部品の搬送を行う際に使用するもので、例えば、粉末調味料を運ぶ際に、段ボールの内側にこのフィルムを内袋とすることで、粉末調味料袋として利用されます。
本製品に帯電防止性を持たせている理由は…
このようにフィルムの表面抵抗値が違うことによってフィルムの性質が異なり、それに応じて扱う商品が大きく変わります。目的に応じた適切なフィルムを選択することが非常に大切になります。
ちなみに上記3つの中で最も高価なフィルムは導電性フィルムとなっていて、その理由は抵抗値が低いためです。一般的にはフィルムの原料である樹脂が絶縁体に近い抵抗値を持ちますが、特殊な素材や加工を施すことで、抵抗値を下げているため、結果的に抵抗値が低いフィルムの方が単価が高くなります。